《MUMEI》

姉さんと待ち合わせしたのは
市民センターだった


芝生広場のベンチに座り
姉さんを待ってたんだ

……

姉さんが来た


目を、合わせられない俺


姉さんが、黙って横に座ったんだ

翔太 「…」

姉 「…家じゃ、話せないよ ね」

翔太 「……」

姉 「言い訳ぐらい、聞いて あげるよ」

翔太 「…」

姉 「何も、言う事、無いの ?」

翔太 「…ごめんなさい…」

姉 「…何について、謝って るの?」

翔太 「…姉さんに…」
「…触った、事…」

姉 「…謝るなら、私を見て 謝りなさいよ!」

姉さんに、強く言われた

姉さんの顔を、恐る恐る見た俺

翔太 「ごめんなさい…」

姉 「……」

直ぐに、姉さんから
目を逸らしてしまった俺だった

……

姉 「……何で?」

「ちゃんと、話して」

翔太 「…わかんない」

「気が付いたら…」
「俺……触ってたんだ…」

姉 「……他人だったら、犯 罪よ」

「翔太、捕まっちゃうんだ よ」

「学校にも知らされるだろ うし」
「お父さんや、お母さんだ って悲しむわよ!」

翔太 「…」

姉 「痴漢なんて…」
「二度としないと誓いなさ い」

翔太 「しないよ」

姉 「約束出来る?」

翔太 「…できる」

「だから、」

「もう、…一緒に電車、乗 りたくない…」

「父さんや、母さんに話す よ」

「俺、姉さんと、二人っき りになりたくないよ…」

姉 「何を、話すのよ…」

翔太 「姉さんに…痴漢した って…」

姉 「バカ言わないで!」

翔太 「けど…」

「辛いんだ…」

姉 「…」

翔太 「だから…」

姉 「翔太、一人で電車乗せ たら、危ないもん…」

「私が翔太を監視する」

「犯罪者にしたくないよ」

翔太 「…ふざけんな!」

怒鳴っちゃった

姉 「…」

翔太 「俺、そんな事しない よ!」

「姉さんだから」

「姉さんに……」

「だから……」

「もう、いいから」
「明日から、別々に…」

姉 「翔太?…」


俺、…泣いてた…


涙が、勝手に…


姉 「……」


暗くなるのが、早くなったのかな

夕焼けが見えてた

姉 「…お父さん達には黙っ てて」

翔太 「…」

姉 「私を、触りたかったの ?」

うなづいた、俺

姉 「他の女性に、あんな事 、絶対しない?」

翔太 「しない…」

姉 「…うん」

「帰ろう、翔太」

翔太 「…先に、帰って」

姉 「何で?…」

「また、泣くぅ…」


また、涙が勝手に出て来たんだ

姉 「誰にも話さないから安 心しなって……ね…翔太」
翔太 「いいよ、話して…」

「俺、一人で帰るから…」

姉 「……」

翔太 「…」

………

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