《MUMEI》

「きっと自分のお父さんに似るんだよね…僕はクリスマスとかよく分からないけど、ウチもパーパーにそっくりだったし」

唐突にチキンを頬張っていたジェイミーが、くるみちゃんにそう言って自分の家のサンタさんの話をし始めた。

「赤い服を着た奴がケーキとかパオズ(包子)をよく持って帰って来てくれたぞ、いつものパーパーみたいに」

(え…ジェイミー…ι)

この流れだと”父親がサンタさんに仮装している”という事をバラしちゃうんじゃないか…。

そう思って、全員がジェイミーを止めようとしたけどココで止めると目をキョロキョロさせているくるみちゃんが更に混乱してしまうんじゃないかと思って全員が固唾を飲んで見守っていた。

「くるみの今のパーパーは?」
「…克哉…パパ///」

克哉さんの事を”パパ”と言うと、くるみちゃんは頬に両手を当ててちょっと恥ずかしそうにしながら俯いていた。

「きっと赤い妖精はパーパーの分身の妖精なんだよ」
「ぶんしん?」

”分身”という日本語はまだよく分からなかったようで、くるみちゃんはその聞き慣れない言葉に首を傾げていた。

「分身…う〜ん…」

ジェイミーもどう説明していいか分からないみたいで、指を見たり天井を仰いだりして言葉を出そうと試行錯誤していた。

「あっ、ドッペルゲンガーだよ!」
「!!」

突然、ジェイミーがそう説明するとトリスタンさんと克哉さんが息を詰まらせたのが分かった。

僕は何が起こったのか分からずにくるみちゃんの方を見てみると、くるみちゃんも驚いて、何だか怖がっているような表情でサンタさんの方を見つめていた。

(…ドッペルゲンガーって、何だろう?)

『あの…か…』

と小声で言いかけて、今は克哉さんはサンタさんなので食器を片づけるフリをして急いでトリスタンさんを台所に連れ込んだ。

『トリスタンさん、何ですかあのドッペルなんとかって?』

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