《MUMEI》

くるみちゃんが相当怖がっている様子から、鬼か妖怪みたいなものかと思って話を聞いてみると、どうやらドイツのホラーで”自分にそっくりな分身が魂の半分を持って行ってしまう”…というような話らしい。

「兄ちゃ…だから白いおヒゲになっちゃったのぉι」

くるみちゃんが今にも泣きそうになったのを見てジェイミーも慌てたのか、別の言い方を必死に探していた。

「え〜と…い、生き霊?」
「ふぇ…?」
「ジェイミー、もうそろそろサンタの妖精さんが帰る時間だから」

克哉さんも自分がくるみちゃんをあやしたくても怖がられそうで戸惑っていたので、余計な事をまた言いそうになっていたジェイミーを止めると、克哉サンタさんにもうそろそろ帰るように目配せをした。


「サンタがドッペルゲンガーなワケ無いでしょ、マックスだってクリスマスの後はピンピンしてたんじゃない?」
「うん…一緒に雪遊びした///」

トリスタンさんに抱っこされて気分が落ち着いたくるみちゃんは、色々とトリスタンさんとお話をしているようだった。

「マックス、サンタさんみたいにおヒゲ生えてた?」
「うん、ちょっとだけ」
「…それは冬だから無精してただけよ」

無精なマックスさんか…あの綺麗な姿からはあんまり想像出来ないけど。


サンタさんの世代交代騒動で色々あったけど、くるみちゃんの中では納得してくれたみたいで、玄関の廊下でサンタさんとの別れを惜しんでいた。

「くるみ…また一年後に会おう、その時までに大きくなってるんだぞ」
「うん///シャンたしゃんも元気でね…」

克哉サンタさんは、手を握って名残惜しそうにぴったりとくっついてくるくるみちゃんにメロメロになっている。

顔色は変わってないけど、なんとなくそれだけはこっちにも伝わってきていた。

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