《MUMEI》
危ない橋 2
一行がさらに進むと、川の流れる音が耳に入ってきた。
皆は止まる。向こう側に渡るための一本の橋。しかし見るからに古く、風で揺れ動いている。今にも崩れ落ちそうな橋だ。
「大丈夫よ。あたしはここを渡ってきたんだから」アイが自信満々に言った。
ダスティが皆の疑問を代弁する。
「アイ。体重はいくつだ?」
「レディに年齢と体重は聞かないものよ」アイがムッとする。
「あっ…」
体重の話をされてマキは気づいた。
「アイ」スタンが言う。「アイとマキをあわせても、俺たちのほうが重い」
「あっ」アイは焦った。「そうか。ダスティはあたしの3倍かあ」
「2倍だろ」
「3倍よ」アイがムキになる。
「3×4=12。確かに3倍以上だ」
「さすがはフランク。ダスティも見習いなさい」
軽口を叩いている場合ではない。ハーリーが言った。
「仕方ない。万が一のことを考えて、女二人を先に行かせよう」
「いや」アニマルが言った。「向こう側に変な獣や賊がいたらアウトだ。何人か先に男が行ったほうがいい」
「なるほど」
「ではオレが行こう」135キロのフランクが前に出た。「オレが大丈夫ならたいがいは大丈夫だ」

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