《MUMEI》

 できるだけ、狙いを後ろの方へ定める。
近くで爆発が起こって巻き込まれたらたまらない。

 ユウゴは指を弾きがねにかけて、グッと力を入れた。

パンという軽い音の直後、爆発が起こった。
しかも、一発ではない。
二回、三回、四回と、連続して何度も爆発が起こる。

 予想以上に大きな爆発が起こってしまい、ユウゴとユキナは思わず立ち止まってしまう。

モワモワと黒い煙りが立ちのぼっている。

その煙の中で再びドガンと爆発が起こり、放物線を描いて何かが飛んできた。

 何かを撒き散らし、ビシャっと音を立てて、それはユウゴの足元へ転がった。
「ヒッ…!」
ユキナが小さく悲鳴を上げる。

人の頭部だった。

 他の爆発に巻き込まれて飛んできたのであろうその生首は、血まみれで苦悶の表情を浮かべ、恨めしそうにユウゴを睨んでいた。

 さらに後から、人の足や何かわからない、おそらく元は人間の一部だったと思われる塊が不気味な音をたてて降り注ぐ。

「い、行くぞ!」
上擦った声でそう言うと、ユウゴは慌てて走る人の流れから抜け出した。
「ま、待って」
顔を引き攣らせたまま、ユキナもついてきた。
 すぐ横のビルとビルの間にある、狭い隙間に身をねじ込ませる。

そして、一団が通り過ぎるのを息を殺して待ち続ける。

 あの生首は、次々と走って行く人の足に踏まれ、グシャ、グシャっと音を立てて無惨にも潰れていった。
しかし、その頭から転がり出た目玉だけはいつまでもユウゴを睨んでいるようだった。

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