《MUMEI》

「それ早く言って下さい!」


女は恐怖で顔が歪み、
懇願の眼差しを将貴に向ける。


「は?

俺には何のメリットもねぇじゃん?」


「そんな……。」


「それに『黒龍』にも何の被害も受けねぇし?」


将貴は他人事のように言うと、
手をひらひらとさせた。


「精々頑張るんだな。」


そう言って裏門から出て行こうとする。


「待って!」


すかさず女は後ろから将貴の服を掴み、
引き止めた。


「お願い!

助けて下さい!!」

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