《MUMEI》
木城財閥の令嬢
必死な顔で、将貴を見上げる女。


ドキ……


間近で見るからなのか、それとも違う感覚からなのかは知らないが、
不覚にも将貴の心臓は飛び跳ねた。


「……名は…?」


それを悟られないよう、
わざと低い声で尋ねる。


「はい?」


「名前はなんだと聞いている!」


「わ…は、はい!

……木城優美(キジョウ ユミ)です。」


「そうか。

何か書くもんと紙持ってるか?」


「は、はい、ちょっと待って下さい。」


突然態度を変えた将貴に、
優美は戸惑いながらも手帳の紙切れとボールペンを手渡した。

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