《MUMEI》
全ての始まり
それは、彼が受験する高校を母親と二人で探している時に、起こった。


「ここで、いいんじゃない?」

「私立藍海学園…ですか?」

「奨学金制度もあるし、男子校だよ…どうやらゲイやバイで一杯らしいけど」


母親のその一言で、彼の顔が一瞬にして輝いた。
まるで、新しい玩具を与えられた子供のように…。


「BL見放題、ですか…」

「見放題だね…」


二人は顔を見合せて、怪しげに微笑んだ。

だが、周りから見ればその光景は、美女が二人で笑い合っているようにしか見えない。

それほど、母親は若さを保ち…彼は美人だった。
だが、彼はれっきとした男性であり、母親は四十代。

そして二人は…腐っていた。

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