《MUMEI》 再会翌日、いつも通りに学校を終えてタイキは下校した。 途中、スーパーの前を通り掛かった時、少し気になったので中を覗いてみた。 シャッターは開いていたが、入口のガラスに貼り紙が見える。 『都合により、休業します』 さらに店内へ目を移す。 中では、作業服の男たちが清掃に追われている。 奥の方に一人だけエプロンをした中年の男が見える。 おそらく店長だろう。 彼は、清掃する業者に指示を出しているようだ。 その表情は暗い。 当然だろう。 入口から見ただけでも、かなりひどい状態だ。 とんだ被害にあったものだ。 可哀相に。 あの女の空腹を満たすためだけに、店がメチャクチャ……。 タイキは見知らぬ店長に同情しながら、その場から立ち去った。 昨日、言い返してやろうと決意したが、まさか今日はいないだろう。 そう思いながら、タイキは何気なく公園を見た。 いつも通りだ。 遊ぶ子供。 井戸端会議の主婦たち。 タイキは自然とベンチに視線を移す。 ……いる。 昨日とは違うが同じように派手な服を身に纏った彼女。 しかも、確実にタイキを見ている。 思わず、タイキも彼女を見返した。 しばらく無言で二人は見つめ合った。 そして「よっ」と彼女は片手を挙げた。 まるで友達に会ったかのように。 前へ |次へ |
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