《MUMEI》

「モジャモジャしてんじゃねぇよもたッ!!」



「ごっちゃすぎだろッ!!」



※正解。
『もたもたしてんじゃねぇよモジャ。』



(だいたい俺のせいじゃねぇしッ…!!)



シュッ!!



ボールがコート後ろに逸れた為、


聖龍キーパー奥本はゴール内にある予備のボールを拾いパスを出す。



両サイド(井川・広瀬)が走るも速攻は出ない。



「しゃ〜決めんぞ〜!!」



センターラインを跨ぐ桜井。


海南は既にディフェンスに戻っていた。



(あ〜あ〜。
モジャのせいで速攻できなかったよ。)



(だから俺のせいじゃね〜だろ!!)



キュキュッ!!



1対1からずらしを狙う聖龍。


この段階ではまだフォーメーションと呼べるプレーは出ていない。



(また外した…)



ドクンッ…!!



(やべぇ…


次外したら…


いや…


最悪の事態は考えんな…


大丈夫…


次は絶対…)



「千葉ぁッ!!!」



「えっ…」



キュッ…



(やべ…!!)



一瞬の隙に、


千葉は抜かれていた。


右45。


鈴木に。














バスッ…!!













……………













ドドドドドワーワーッ!!!!!!!!!



「また健也だぁぁぁッ!!!!」



ドドドドドワーワーッ!!!!!!!!!



「ナイッシュー健也ぁッ!!!」



ドドドドドワーワーッ!!!!!!!!!












……………













(…落ち着け俺!!)













……………













4対0。



準決勝第一試合。


聖龍高校対海南高校。


優勝候補筆頭の王者へと挑んだ海南高校の選手たちを待っていたのは、


試合開始から4分19秒の時点で1点も取れないという現実。


誰もが思った。



『やはり今年も聖龍だ。』



しかし、


試合はまだ5分も経っていない。


これはまだ、


激動の試合の幕開けに過ぎなかった。

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