《MUMEI》
危ない橋 3
フランクが慎重に渡る。橋はギーギーと鈍い音を立てる。
「フランク」
「大丈夫だマキ」アニマルが呟く。
ダスティはカメラを回していた。
「だれか落ちそうになるとスリリングなシーンが撮れるんだが」
ダスティはマキの冷たい視線を感じた。
「バカだなマキ。ジョークに決まってるだろ」
フランクはゆっくり進み、無事に向こう側まで辿り着いた。
「急ごう」ハーリーが言った。「夜になる前には船に乗りたい」
「そうね」
「アイはヘリコプターで帰るのか?」ビリーが聞く。
「船よ」
「ヘリコプターは?」スタンが聞いた。
「話せばロングストーリーよ」
フランクのあとはハーリー、ビリーと一人ずつ渡った。
「次はアイとマキだな」マードックが言う。
先にアイが渡り、いよいよマキの番。彼女は胸に手を当てて深呼吸した。
「マキ。何かあったらすぐに声をかけろよ」
「ありがとうアニマル」
優しさが染みた。
「マキ」ホークが笑う。「心配はいらねえ。俺様は空を飛べるんだ。いつでも助けられる」
「お願いね」マキは笑みを浮かべた。
「マキ」ダスティも声をかけた。「できれば水着姿で渡ってくれないか?」
「落ちたいか?」マードックが下を指差す。
「落ちたくない。落ちたくない」ダスティは両手を出し、首を横に振りながら下がった。

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