《MUMEI》
危ない橋 4
マキは慎重に一歩足を踏み入れた。すぐ後ろでアニマルが励ます。
「マキ。柵に寄っかかるな」
「はい」
「ダメだったら言えよ」
過保護なまでに優しくされて、マキは少し照れたが嬉しかった。
マキが中央まで差し掛かったとき、大きな鳥が奇声を発しながら、マキの頭上スレスレを飛んだ。
「きゃあ!」マキが転んだ。
「マキ!」
アニマルとアイが両側から同時に叫んだ。
「バッチリ」ダスティは得意満面にカメラを叩く。
マキが起き上がると、アニマルが声をかけた。
「大丈夫か?」
「大丈夫」
マキは歯を食いしばり、汗びっしょりかきながら、ようやく渡りきった。
向こう側でアイと抱き合う姿を見て、アニマルはホッとしたが、すぐに後ろを振り向くと、無表情で歩いていった。
アニマルはダスティのカメラを奪おうとする。
「NO!」
「何がバッチリだ?」
「待て待て落ち着け」
マードックとホークが止めた。
「アニマル。早く渡りたいだろ?」
ホークに背中を押され、アニマルは橋を渡った。
ダスティが呟く。
「熱いねえ、全く。これだから純愛は困るぜ。周りがすべてエキストラに見えるんだろうな。この世界に人間は二人だけ。けっ…」
「シャラップ」スタンが睨んだ。

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