《MUMEI》

母さんと姉さんが
何となくギクシャクしてた
姉さんが、やたら母さんにつっけんどうなんだ


母さんも、何だか変な心配ばかりして


母 「翔太、あの娘さんに返 事したの?」

「交際するなら一度家に連 れて来なさいね」

とか、言い出すし


正直、ウゼー


翔太 「やらしい事なんかし ないよ、俺」


母さんの目を見て言ったんだ

母さんの心配は、どうせ、ソレだろ?って感じでさ

母 「そんな事じゃないわ」
「どんな娘さんかなって」

翔太 「頭良くて、真面目で 家柄も良いよ」

「エッチな事とは無縁な人 だよ…」

「それに、付き合うつもり も無いしね」


そう、言い切って
俺、母さんの言葉も聞かずに部屋に行ったんだ


面白く無いなぁ


母さんも

姉さんも


家に居るのが憂鬱に感じて来てた俺だった

……

翌日の学校帰り

……家に、帰りたくないなぁ…

けど、時間潰す場所も相手も居ないしなぁ…

……

学校が私立ってのもあって
帰宅してから友達と遊ぶ事ってなかったんだ

小学校のときの友達なんかは、縁遠くなってたし


ターミナル駅で
途中下車した俺

本屋に寄ったり
100均ショップに寄ったりしたんだけど

たいして時間、潰せなかった

仕方ないやぁ

帰ろう

そう思った時だった


翔太君?!


名前を呼ばれて振り向くと
翔太 「間宮さん」


俺を、好きだと言ってくれた女子だった


間宮 「偶然だね」

「翔太君、まだ先だよね、 駅」

翔太 「うん、ちょっと買い 物」

一応、校則で
寄り道は禁止なんだけどね
守って無い生徒だった、けっこう居るし

塾通いの人も多いしね


間宮さんと立ち話し
してたんだ

間宮さん家
この駅の近くなんだって


たわいない話しだったけど楽しかった

間宮さん、女子の中でも話しやすいんだ

明るくて、ハキハキしてるんだ

成績も良くて

優等生を絵に書いたような人なんだ


あっという間だった
1時間以上話してたみたいで

すっかり外は暗くなってたんだ

家族が心配するから

って、慌てて帰った俺達だった


帰宅した俺に

母 「遅かったわね」

と、聞くから
正直に

翔太 「間宮さんと、話して たんだ」

と言ったんだ

母さん、少し微笑みながら
母 「翔太も、そんな年頃な のねぇ」

と、言ったんだ


友達と話すのに
年頃も何もないじゃん

間宮さんが女子ってだけで、何を勘ぐってんだか…

……

それから、たまにだけど

間宮さんと帰りに話して帰るようになったんだ

……

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