《MUMEI》
バラバラ
冬休みに入るちょっと前だった

夜中に母さん
電話で喧嘩してた

相手は父さんかな?


たいして気にも停めなかったんだ

……

冬休みになって

母 「翔太、冬季講習申し込 んどいたから」

「行くなら行きなさいね」

翔太 「…」

前に、母さんに聞かれたけど

俺、返事しなかったんだ


電車賃がテーブルに置かれてた

俺、それを持って
冬季講習に行ったんだ


講習会場は
姉さんと、同じビルの中だった

電車で一緒になっても

俺、姉さんを見る事もしなかったんだ


駅から歩いて帰る道

姉 「翔太、いつまで無視す るのよ…」

翔太 「…」

姉 「……」

「お父さんとお母さん、喧 嘩したみたいだよ」

翔太 「…」

姉 「翔太ぁ!」

翔太 「…」

俺、姉さんを無視して
コンビニに寄ったんだ

余ったお金でパンを買って食べながら帰った

家で食事はしたくなかったから

……

帰宅すると
父さんが帰ってたんだ

母さんと向き合って話しをしてた


俺、黙って素通りしようとしたんだ

父 「翔太、挨拶は?」

翔太 「お帰り、父さん」
「母さんと話し終わったら 、俺、父さんに話しがあ るんだ」

「部屋で待ってるから」

父 「わかった…」

……

何時間か経って
父さんが部屋に来た


父 「翔太、話って何だ?」

翔太 「うん…」

俺、父さんにパンフレットを見せたんだ

翔太 「わがまま言って、悪 いんだけど」

「俺、この高校に行きたい んだ」

父 「…」

寮も有る
高校なんだけど

在日の外人達が通う高校だったんだ

翔太 「留学も出来るしね」

「寮に入るつもりなんだ」

「お金、掛かっちゃうけど …」

父 「今の学校なら、だまっ て高校に行けるだろ?」

そう、エスカレーター式に上の学校に行けるんだけど
翔太 「ごめん」

「俺、居場所なくなっちゃ って…」

父 「母さんから聞いたよ」

「逃げて、良い事なのか? 」

翔太 「…逃げる?か…」

「そうだね、逃げて事にな るんだね」

「けど、狭い事しか考えな い、馬鹿な日本人だけの 学校より」

「俺には向いてるって思う んだ」

「教師にすら、魅力感じな いんだもん、今の学校は さ…」

父 「……」

「考えとくよ」

「余りに急だったからな」

「来年の、夏までに答え出 せばいいな」

翔太 「…俺、決めてるから 」

「ダメなら、上の学校には 行かない」

「働くよ」

父 「そう、急くな!」

「まだ時間は有る」

「翔太、時間いっぱいまで 、色んな道を考えて見な さい」

「父さんも、しっかり考え るから」

翔太 「…わかったよ」

……

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