《MUMEI》

クリスマスの夜

姉さん、夜中に帰って来た

誰かに、車で送ってもらったみたいだった


お洒落して
ミニスカート姿で出掛けて行った姉さん

彼氏とデートかな?


セックスして来たんじゃね?…


母さん、豪華な食事を作ってたんだけど

俺、食べなかったし
父さんも、遅く帰って来たみたいだったし


気付けば、家族はバラバラになってたんだ


……

父さんと母さんが
ギクシャクしたまま
新年を迎えた


今まで、こんな事、なかった


テーブルに、家族4人が揃う事は
一度も無かったんだ


……

姉さんも、俺に話し掛けて来る事はなくなった


男出来たみたいで
しょっちゅうお洒落して出掛けてる姉さん

……

心の何処かが痛い

姉さんに彼氏が居る

姉さん、セックス、してるのかも…


俺の、姉さんに対する思いは
仲悪くなっても消えてなかったみたいだった


けど

これで良いんだ

……

俺、冷めて物事を見るようになってたのかな

父さんが
また海外に行くとき

もう帰って来ない気がしたんだ

翔太 「元気でね」

父 「あぁ、大丈夫さ」
「慣れてるからな」

翔太 「何があっても」
「俺の学費、頼むよ」

父 「…」

父さん、何かを考えてから言ったんだ

父 「母さんと、別れる気は 、父さんは無いよ」

「なぁ、翔太」

「何があっても、私は、お 前の父親だ」

「母さんの食事、食べてや れ」

「お前にも、意地とか有る のかもしれないが」

「それが条件だ」

「好きな学校に行きなさい 、父さんが全部面倒見る」
「男と男の約束だぞ」

翔太 「……わかった」


父さんとの約束だった


だから

帰宅した俺は

翔太 「母さん、飯」

とだけ言ったんだ

母さん、直ぐに用意してくれた

…母さんの食事

やっぱ、美味しいや…

……

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