《MUMEI》
危ない橋 6
いよいよ最後はダスティが橋を渡る。
「カメラに映らないのが残念だぜ」
「ダスティ。カメラは置いてきなさい!」アイが言った。
「バカ言ってんじゃねえ。人がどれだけ苦労して撮ったと思ってるんだ?」
「言うこと聞けダスティ」ハーリーが言った。「テメーはいちばん重いんだ!」
「だれがデブだ。見てろよ、オレのパフォーマンスを」
ダスティはカメラを回しながら橋を渡った。踊りながら景色やアイたちを撮る。
「フォー!」
凄いステップ。ターン。アイが怒った。
「舐めないで! みんな無傷で帰るんだから!」
「フォー! ワオ!」
ダスティは聞く耳を持たない。せっかく中央まで来たのに、ムーンウォークで下がっていった。
「何やってんの!」
「言うこと聞いて!」
アイとマキが怒鳴る。
ダスティは連続ターンからジャンプ!
「飛ぶなバカ!」ビリーも怒る。
しかしダスティは面白がってジャンプ! カメラを担いだままジャンプ! ジャンプ! ジャンプ…。バキッ。鈍い音。
「ん?」
137キロの連続ジャンプに耐えきれず、ついに橋が崩れ落ちた。
「まずい!」
「ダスティ!」
マキとアイが叫ぶ。橋は片方が完全に落ち、慌てて掴まったダスティはターザン状態だ。
「おーたーすけー!」
思いきり岩肌に体を叩きつけられたが、かろうじて首の皮一枚で落ちていない。
ダスティは頭上を見る。アイやマキが心配そうに下を見ている顔が見えた。
「助けてくれ!」
「ダスティ!」

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