《MUMEI》

海外に行ってる父さんとメールで話してた

時差があるから
お互い返信は翌日だったりするんだけど


母さんと、普通に話せるようになって来たよ

母さんの作ったご飯も食べてる

進学の事だけど
やっぱ気持ちは変わらないかな

よく考えてみるけどね

父さん、身体に気をつけてね

追伸
母さんと風呂入ったんだけど

やっぱ、緊張しちゃうな俺
こればっかは、直ぐにどうこうできないかも


メールだと、考えてから文に出来るから
話すのとちょっと違うよね

翌日、父さんからのメール

翔太、しっかり道を見極めて
思った通りの道を進みなさい

父さんは、翔太を応援する
母さんとも、よく話し合ってな

綾奈とも
仲良くなれたら父さん安心なんだけどな


10月に戻る予定でいる

母さんと綾奈を頼んだよ

長男なんだからな、翔太は

父より


父さんのメールは
必ず最後に 父より
と書かれてるんだ

アドレスでわかるのに


父で有ることを
忘れるなって事かな?

なんとなく
そんな風に思ったんだ


……

姉さんは、相変わらず
家で、あまり顔を見なかった

帰りも遅いし

遊びまくってんのかな?


母さんとも
姉さんの話題は、話さなかったしね

父さんの話題も

俺、避けてたんだ


母さんも、何も話さなかったし

ガキの俺なんかが
何か言ってもね…

薄々、両親の喧嘩の理由はわかってたし

母さんが、俺や姉さんの事で悩み、
大変な思いをしてた時に
父さん、
浮気してたみたいなんだ


猛暑日だった日

夕食後に風呂入ってた俺

母さんが入って来たんだ


この前の事
どうしても、思い出しちゃうよ


母 「翔太」
「もし、お父さんとお母さ んが離婚したら」

「翔太はどっちと暮らした い?」

母さん、そう切り出したんだ

翔太 「そうなった時に決め るよ」

「母さんを守りたいし」

「父さんも、心配だから」
「んな、困る質問しないで よ…」

母 「…」

母さん、身体を流してから湯舟に入ったんだ


翔太 「父さん、浮気したの ?」

母 「…そうね」
「金髪の、若い娘さんみた いよ」

母さんが、ハッキリ答えたんだ

翔太 「父さんの、お金目当 てだったりしてね…」

母 「さあね……、それは、わからないけわね …」

翔太 「母さん的には許せな いんだね」

俺の問い掛けに
母さん

母 「翔太は、どう思う?」

「父親が浮気してたら」

そう、問い掛けて来たんだ
翔太 「…うーん…」

母 「責める気持ちは無いみ たいね」

翔太 「責める?…」

「…そうだね…」

「浮気したなら、父さんが 悪いのは間違い無いよね」
「どんな浮気だかわからな いけど…」

「嫌いには、なれないよね 、…やっぱ、父さんだし ね」

母 「なら、もし、私が浮気 してたら、翔太、どう思 う」

翔太 「…」

母さん、何でそんな事聞くんだろ?

翔太 「わかんないけど」

「嫌いにならないのは同じ かな」

「俺、父さんからも、母さ んからも、愛情感じてる しね」

「愛情、感じなくなってた ら…捨てられたって、思 うかなぁ?」

「…よく、わかんないよ」

「交際した事も、ないもん 、俺…」

母 「そう…」

母さん、俺から目を逸らして
壁を見てた…

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