《MUMEI》

膝の上で大きな口を開けたまま寝てるかなたを眺めると、男だから赤ん坊は出来ないだろうけど、出来たって全然おかしくない見た目で足を広げたまんま眠っていた。

そんなかなたの柔らかい腹の辺りに手を置くと、フニフニとその辺を触りながら窓の変わらない景色を眺めていた。




「武、起きて」
「…ん、もう着いたのか」
「うん」
「…森ん中だぜ」

俺はいつの間にか眠っていたらしくって、かなたに言われて起きてみると窓の外は深緑色の森の中だった。

「ウチだよ、もうすぐ着くから」

かなたが言った通り、森の中を抜けると古いカンジの全体が見渡せない程の洋館が見えてきた。

「ねぇ武ぃ〜来て来て♪あっちに俺が遊んでた庭があってね〜」
「おいかなた、この荷物を出すだけでもしろ」

車を降りるとかなたに手を引っ張られて連れて行かれそうになったが、克哉さんはまるで父親のようにそう言うとかなたは口を尖らせて不平を言いながらも自分の持ってきた一番軽い荷物を車から出していた。

「それにしても広いな…」
「古いだけだよ、シャワーとか気を付けてね」

一緒に荷物を持って家の方へ行こうとしたら、目の前に小さな子供がバタバタと走ってきた。

「かなたーん!はるたーん!おかえりなの〜♪」
「くるみちゃん!ただいま〜♪」

かなたは俺に荷物を渡してくると、その天使のような小さな子供の元に駆け寄ってちょっとフラつきながらも抱え上げると、お兄ちゃんらしく”高い高い”をしてやっていた。

かなたは今まで見た事も無いようなお兄ちゃんという雰囲気で、はしゃいでいる小さな子にいっぱいキスをしていて二人ともまるで絵画の中の子供のようだった。

「あ、お帰りなさい…って言うのかな、いらっしゃい///」

そのかなたの小さな弟がやってきた方向から綺麗な女性…。

いや、あの人は前に見た事がある、克哉さんの恋人のアキラさんだった。

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