《MUMEI》

「あきら、俺たちの荷物は?」
「うん、もう届いたよ」

克哉さんとアキラさんは、もう長年連れ添った夫婦のような雰囲気で、それを見上げていたかなたの弟も、まるでその間に出来た子供のようだった。

「あ、それでね…はるか君と…梅子ちゃんかな?」
「は、はい///」

アキラさんははるかと一緒に居る梅子ちゃんの方を見るとニッコリ笑い、二人を手招きした。

「キミ達には別のお部屋が用意してあるってさ、案内するからおいで」
「は…はい///」

アキラさんは梅子ちゃんの荷物を持つと、小さな弟も小さな手でその荷物を押していた。


「若者諸君、よく来たな」
「いらっしゃ〜い♪ユァウェルカムだよ〜♪」
「ママ〜パパ〜♪」

コレが話に聞いていた4兄弟のトコの逆転夫婦か…。

アキラさん達の隣の方から剛胆に歩いてくる、おっぱいの大きなこの人がこの4兄弟の母親さくらさん。

そして、こっちではるかとかなたを抱っこしてるすらりと背の高い優しそうな雰囲気の金髪の人が、父親か。

「とても綺麗だねサムライ君♪」
「ど…どうもι」

かなたの父親がさっそく俺の側に来ると、俺の後ろに束ねてあった髪をしきりに触ってきた。

「かなたと侍君はこっちの部屋でイチャイチャしてればいいよ、はるかと梅ちゃんはこっち」

(俺の名前…侍になってる…)

お屋敷の中に入ってくと母親のさくらさんは、洋館の規模にビビっている梅子ちゃんを半ば強引に引き連れていた。

「貴族だか何だか知らないけど部屋が多いのよね〜」
「えっ…えぇ、き、貴族///」
「昔より派手じゃないよ〜♪」

かなたの家系は、ドイツの貴族という事だった。

俺たちが通っている学園の理事長の孫ってのは知ってはいたけど、かなたが言っていた貴族って話がまさか本当だったとは…。

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