《MUMEI》

あのかなたが俺の上に落ちてきた旧寮と新寮の間の段差が、その後すぐに階段になっていた事があった。

その時にこの双子の凄さをその時実感したんだけど、歴史のある豪邸を目の前にして改めて凄いんだな…と実感した。

そしてこの目の前ではしゃいでいる父親はこの家の末っ子で、今はココではなく克哉さん達の近くに住んで会社の社長をしているという事だった。

「本当は兄ちゃが経営してるようなものなんだよね」
「僕は克哉に助けられてるよね〜会社も子育ても♪」
「お前ら、この部屋だ」

さくらさんが案内してくれた部屋は、映画でしか見たことが無いような古いけど高級なのが分かる作りで、その真ん中には大きなベッドがドーンと置いてあった。

「このベッドで何なり好きなようにすればいい」
「えぇっι///」
「そういう直接的な言い方はやめろ!」

はるかがさくらさんに向かって怒ると、小さな弟がかなたそっくりな”しゅきしゅき〜♪”という声を上げながら大はしゃぎしていた。

はるかと梅子ちゃんの部屋だって言う、そこをウロウロと眺めていると、また知らない人が部屋に荷物を運んできてそのまま出ていってしまった。

「なぁ、かなた…さっきの誰だ?」
「さっきの?…あぁ、お手伝いさん、何人か居るんだよ」
「…あぁ…そっか…」

かなたんトコは貴族だったんだよな…そういうのが居て当たり前の生活なんだ。

何か…すげぇな。

「ねぇ、武…俺たちの部屋にも行こうよ〜」
「そうだな…」
「あのね元々俺の部屋なんだよ、ねぇねぇパパこの部屋みたいに模様替えしちゃってる?」
「ココと同じでベッドは真ん中だよ」

どうやらこの部屋は元々はるかの部屋らしいんだが、ライティングもムード満点な部屋にされてしまっていて、はるかの奴もぐったりうなだれていた。

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