《MUMEI》

やっぱり案内された広い部屋にはもうすでに荷物が運び込まれていて、はるかの部屋と同じように真ん中にベッドがあり、ライトは薄暗くて、まるで…。

ラブホ……。

「お部屋が暗いんだよね!」

そう言ってかなたが窓にかかった部屋中のカーテンを一気に開けてった。

「うわっ、眩しッ!」
「閉めてた方が良いムードなのに〜…」

一緒についてきていたらしいかなたの父親が、いつの間にか俺の横に立っていた。

「ッわあ///」
「どうも、そういや知ってるですか僕の名前?」
「え…マックスですよねι」

かなたがいつも写真やメールを見せてくれたりして、その時一緒に名前を言っていたからちょっとだけ知っていた。

「そう、マックスです♪本当な名前はMaximilian(マクシミリアン)でもね、本当のホントな名前は死ぬほど長いなんだよ、ヨロシクね♪」

日本語の発音とか…文法とかがとっ散らかっている、なんとなく面白い人なんだな…。

身長なんかもすらりと高くて、顔立ちも壮年の男性の筈なんだけどまるで若い頃が容易に想像出来るくらい整っていて、はるかのようにストレートな金髪が動く度にサラサラしていた。

かなたは可愛いらしいけど、このお父さんはとても綺麗な人だった。

「パパ綺麗でしょ…」
「あぁ……ぅわっ!いや…その///」
「一族のなかで一番美人だったからモデルとかしてたんだよね、若い頃」
「一番バカだったからだよぉ〜さくら追いかけるために辞めたけどね〜」

バカだからモデルになったのか?

「さくらの弟子になった僕はいっぱい幸せだよ〜♪」

弟子?もしかして弟とか子供とかと勘違いしてるのか?

でも、あの上下関係のような夫婦の様子は”師弟関係”と言った方が説明が付くのかもな…。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫