《MUMEI》 犬笛の音の指揮に従い、代わるがわる四方から四体の魔犬が、山羊に襲いかかる。 ―ガアァッ! ―ブオォッ! 互いの攻撃と咆哮が交錯する。 力強く早い拳を回避しつつ矢継ぎ早に攻撃する。しかしなかなか決定的な攻撃にはならない。 かたやも入れ替わり立ち替わりの攻撃に回避しながらの攻撃はやや精度を欠き相手の体をかすめるだけだ。 ―いける、足止めならこの程度で。早くしなよ、瀧。 その頃、瀧はひたすら上の階を目指していた。 時おり窓ガラスを破って羽の刃が侵入していたが、窓から距離をとることで回避していた。 ―ミツ、怪我すんなよ…。 一瞬ミツのことを考えたが、すぐに切り替える。 すぐ上の階から彼の気配がある。 前へ |次へ |
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