《MUMEI》
危ない橋 7
「ロープはないか」
「何か探して来よう」
皆はロープに代わるものを探した。
「ダスティ!」アイが心配顔で言う。「カメラを捨てなさい」
「NO!」
ダスティはカメラの紐を口に加えようとしたが、手が滑って紐が喉に掛かった。
「がっ…ぐるじ、チョーク、反則、ワンツウスリー…」
「ふざけないでダスティ!」マキが怒る。
「ダスティ。カメラを捨てろ!」ハーリーも言った。
「捨てねえ。これは金になる」
「命と金とどっちが大事だ!」
「金だ」
「じゃあ死ね」
「ハーリー!」マキが肩を触る。
ダスティは喉からカメラの紐を取り、手に握った。アイが怒鳴る。
「片手じゃ無理。カメラを捨てなさい!」
そこへスタンが木の枝を持ってきた。
「ダスティこれに掴まれ!」
しかしトゲがスタンの掌に刺さった。
「あっ…」
枝は落下してダスティの顔面を直撃!
「だあああ!」
その衝撃でカメラを放してしまった。
「ノオオオオオオ!」
カメラはゆっくり川まで落ちた。ダスティは怒り心頭。
「スタン、テメー!」
「バカヤロー。わざとじゃねえ」
「許せん」ダスティはいきなり自力でよじ登ってきた。「泣かす!」
「ダスティ」
マードックやハーリーが手を掴み、ダスティを引き上げると、ダスティはスタンの前頭部にエルボーバット!
スタンはふらふら下がると見せて左腕が唸る。
「ウエスタンラリアット!」
「がっ…」
「やめなさいよ狭い場所で危ない!」アイが怒鳴る。
ダウンするダスティにマキが声をかけた。
「大丈夫?」
「この中に人間と呼べるのはマキ一人だ。あとはオランウータンみたいなもんだな」
オランウータン。マキは胸が熱くなり、来た道を振り返った。

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