《MUMEI》

「克哉さん、ありがとうございます///」
「あぁ、喜んで貰えて良かった」

彼の笑顔を見ると全ての努力が報われるような気持ちになった。

「でも、本来はこの家にいる僕が作らなきゃいけないのに…何か色々させてしまってすみませんι」
「そんな事は無いぞ、キミの日本食も好きだけどキミは働いているからね、私が作るべきだと思ったんだ…それに…」
「…それに?」

彼はそう言うとニコニコしながら、テーブルの下で足を絡ませてきた。

それに答えるようにテーブルに置かれた形の良いアキラの指を触ると、彼はくすぐったそうな表情浮かべながらこっちを見つめてきた。

「アキラに、もうちょっと太ってもらいたいんだ」
「へ?」

彼は不思議そうな顔をして自分のお腹の辺りに手をやると、しきりに触っていた。

「いやいや…もうちょっと健康的な身体になってもらいという意味だ…キミは痩せすぎだからな」
「うっι…だって一人暮らしだから…何か自然と痩せてきちゃうんですよね///」
「自然と?普通は太るんじゃないのか?」

そう言うとアキラは一人暮らしが真っ先に削るのは食費だと言って、自分でつけているという家計簿を見せてくれた。

「まさに几帳面だな…」
「そんな事無いです///…ただ落書きみたいにしてみただけで…一人暮らしって暇なんです///」

彼はそう言うと、その家計簿のページを懐かしそうに捲っていた。

「私も一人暮らしなんだが、アキラのようににキチンと生活していないかもしれないなぁ…」

俺の一人暮らしはほとんど自炊をせずに外食で済ませてみたり、勝手な時間に帰ってみたり、どこでも寝てみたり。

実家に帰っては年の離れた弟の面倒を見て、成長していくその可愛い姿にストレスを発散させてもらったりしていた。


「そんな///僕はきちんとなんてしてませんし…」
「謙遜はしなくていいぞ、そんな所も可愛いんだけどな」

少し恥ずかしそうに俯く彼の頬に指で触れると、ちょっと俺に向かってはにかんでくれた。
  

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