《MUMEI》

「僕足短いから…」
「いや、元から直す為に長く作ってあるんだよ」
「そうなんですか、克哉さんも直してもらったりするんですか?」
「私のはオーダーメイドだ」
「…そうですよね///」

更衣室の中で裾を調節してもらいながら、鏡に映った克哉さんと自分の姿を見て思わず、お似合いだなぁ…と自惚れながら思ってしまった。

まず、身長差とか…。

僕の身長は克哉さんの目線の下に頭があるくらいなので、その大きな胸に寄りかかるのに丁度具合が良いくらいだった。

「蝶ネクタイかとも思ったんだが、アキラがすると子供みたいだったんでね」
「どうせ…まだ未成年ですよ…」

首元のネクタイはあの制服で付けていたようなスタンダードなタイプのものだけじゃなくて、その蝶ネクタイも色々あったり。

それに克哉さんの付けているのはアスコットタイと言うらしい。

僕の付けているのはニットの幅の狭いナロータイで端がスクエアカットされたもの…と言うらしかった。


「じゃあ出来上がるまでこの辺を見て回ろうか」
「はい」

裾上げや色々と直しが出来上がるまで、克哉さんと一緒にこの辺を見て回る事にした。

「アクセサリーは…」
「この辺じゃないですか?」

ロビーにあった地図を指差してその周辺を示すと、克哉さんは『う〜ん…』と唸っていた。

「ZIPPOとかも見ておきたいけどな…」
「違いましたか?」

克哉さんにクロムハーツとか、そう言われてみれば違うような…僕も違うけど友達と一緒に見て廻った事はあった。

古っぽいアクセサリーなのにもの凄い値段が付いていて、興味も無かったので友達の後ろについてフラフラしてるだけだった。

そこで何故か一緒に売っていた和風の簪が似合うと店員さんと友達に言われ勢いで買ってしまったのだけど、よくよく考えてみたら使う事も無いんで母さんの鏡台にそっと置いた事を思い出してしまった。

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