《MUMEI》 噂のオバケ屋敷で起こったことガタンゴトンっ… 電車の振動が体を揺らすたび、心が重くなる。 「はぁ…」 アタシの周囲には、楽しそうな友達の笑顔がある。 今年高校に入学したばかりで、みんな知り合ったばかりなのに、仲が良いと評判。 男女入り混じったグループの中に、アタシはいた。 人付き合いが苦手なアタシは、それでも浮いた存在ではいたくなかった。 だから中学生の時、同じクラスだった女の子に頼んで、このグループに入れてもらったのだけど…。 …ちょっと後悔していた。 思い出すこと一週間前。 そろそろイロイロなことに慣れ始めた仲間達は、刺激を求めはじめていた。 だけどここは田舎で、若者が遊べる場所なんて限られていた。 そのうち、1人の男の子が言い出した。 彼は電車で通学しているのだが、窓から見える空き家がどうやら『出る』と評判らしい。 なので肝試しに行こうと言い出したのは、アタシ以外の全員だった。 多数決で決定。 肝試しは次の休日に、と。 とっとと予定は組まれてしまった。 何とかして断ろうとも思ったけれど、結局言い出せず、アタシは仲間達と一緒に電車に乗っていた。 やがて、言いだしっぺの彼が窓を指差した。 そろそろ例の空き家が見えるはずだ―と。 仲間達は意気揚々と、身を乗り出し、窓の外を見ようとした。 アタシは遠慮したかったけれど、仲間の1人に腕を掴まれ、引っ張られた。 アンタも見てみなよ―と。 イヤイヤながらも外を見続けると、電車は森の中に入った。 次へ |
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