《MUMEI》

仲間の声が聞こえた。

どうやら1番目に行ったペアが戻って来たらしい。

「あっ、いっけない! そっそれじゃあお菓子、どれが良い?」

慌ててカバンの中を開けて見せるも、2人は仲間を見ている。

―ねぇ、おねーさん。他の人にも会わせてよ。

「えっ? 何で?」

―お菓子、もっと欲しいから!

…輝かんばかりの笑顔で言われても…。

「会わせるのは良いけど…くれるとは限らないわよ?」

正直言って、まだ精神的に幼い人達ばかりだ。

悪い人ではないのだけど…好奇心が強いと言うか…。

―良いから。早く行こうよ。

ぐいっと手を掴まれ、引かれた。

「わっ分かったわよ」

でも…その手はとても冷たかった。

渋々屋敷の入り口に戻ると、仲間は2人の対照的な少年を見て、きょとんとした。

そして案の定、どうしたのかと尋ねてきた。

なので苦笑しながら、お菓子が欲しいのだと説明すると、一気にイヤな顔をされた。

そして次の瞬間、口々に飛び出るのは文句ばかり。

なのでアタシは少年2人の腕を掴み、社の前に戻った。

「やっやっぱりダメだったね。ごっゴメン」

息も切れ切れに、両手を合わせて謝った。

―う〜ん。まあ良いよ。ある程度、予想はついていたしね。

ニコニコ顔の少年も、さすがに苦笑している。

「おっお詫びと言ったらなんだけど、アタシの持っているので良かったら、好きなだけ持ってって良いから」

カバンを再び下ろして、中を開く。

―ホント? じゃあ、コレとコレと…

―コレも。あとコレだな。

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