《MUMEI》 中は確かに薄暗く、そして散らかっていた。 どのぐらい昔の建物かは分からないけど、崩壊していないだけスゴイ。 床も歩いたら踏み抜くこと無い。つまり床板は腐っていないということだ。 …かなり立派な造りなんだろうな。 中に進んでいくけれど、先に行った4人には会わない。 それどころか声や気配すら感じない…。 さすがに2人も気付いたのか、不安そうな顔付きになった。 山の中なだけにケータイは通じず、使えない。 中は薄暗かったけれど、懐中電灯を使えずとも中が見える。 けれど見当たらない。 アタシは2人に、4人を探そうと言い出した。 だけどもしかしたら、どこかに隠れてて、アタシ達を驚かそうとしているのかもしれないと、引きつった顔で言われた。 だから奥へ、奥へ、足を進める。 だんだん暗さが濃くなっていく。 だけど耳に、ふと話し声が聞こえた。 それは先に歩いていた2人の耳にも届いていたらしく、2人は慌てて声のした方へ向かった。 少し怒りながら走っていく2人の後ろ姿を見ながら、アタシは何故か追いかけようという気にはなれなかった。 だって…あの声は、4人の声じゃなかったから…。 そして奥の方からは、2人の足音が途絶えた。 息を飲みながら、アタシは歩いた。 このまま歩いていけば、行き止まりだ。だから右手の廊下に進むしかない。 けれどそこは台所となっていて、誰もいなかった…。 ああ、やっぱり…。 辺りを見回してみたけれど、誰かが隠れていたり、ここにいた形跡は何も無い。 前へ |次へ |
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