《MUMEI》 ―…あ〜あ、残念。どうせ引き込むんだったら、おねーさんみたいな人が良かったなぁ。 ―お前のその女好き、絶対父親似だな。 ―しっつれーな! …まっ、否定はできないけどさ。 少年は肩を竦めると、男の子の手を取った。 ―さっ、おねーさんからもらったお菓子、食べようよ! 美味しそうなの、いっぱい貰ったし。 無愛想な男の子は、柔らかく微笑んだ。 ―だな。久々に大収穫だったしな。饅頭にも飽きてきたところだ。 ―お饅頭だけってのも、飽きてきたよねぇ。たまにはチョコとかポテチとかアメとかさぁ、食べたいよね。 ―しばらくは不自由しないだろう。…まっ、またあんな人間が現れるよう、願うことだな。 ―おねーさんみたいな奇特な人、今の世の中じゃ珍しいよ。あ〜あ、もう一回ぐらい、来てくれないかなぁ。今度は僕達に会いに、さ! ―…こんな体験をしといて、来る人間なんぞ普通はいないぞ。 ―残念★ じゃあしばらくは、大人しくしてようか。 …お客さんが来なければ、ね? 前へ |次へ |
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