《MUMEI》

やがて彼には遊び人・軽い人という名前が付き始めた。

ハデな遊び方で、近くにいる人も離れて行った。

彼等はわたしにも、早く付き合いをやめるように言ってきた。

彼は変わってしまった―と。

…確かに彼は変わってしまった。

だけど、わたしへの接し方は変わらない。

そういうところが、離れられない原因かもしれない。

だからわたしは、彼のことを好きなままなんだ。

悔しいな。

そして悲しい…。

いつまで彼に縛られ続けるんだろう?

こんなこと、もうお終いにした方がいいんだろうか?

わたしの彼を思う心が、彼をダメにさせているんじゃないのか?

…そう思うと、離れようと思う心は大きくなる。

わたしは決めた。

もうコレ以上彼の側にいることは、彼自身のためにもならないし、わたしもこのままじゃ、ダメになる。

だから…。

「なぁなぁ。最近、可愛いコ見つけたんだ! 相談に乗ってくれよ」

「あっあのね…」

わたしはオズオズと彼と距離を取った。

「もう…わたし、あなたの相談に乗るの、やめることにするわ」

「えっ…。何で…」

明るかった彼の表情が、一気に暗くなる。

「だって、あなた変わってしまったんだもの。コレ以上一緒にいても、お互いのためにはならない」

…ヘンなの。

まるで別れ話みたい。

付き合ってもいないのに…。

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