《MUMEI》

『なっ、お前…操り
(あやつり)か?』

黒いマントの男が忌
ま忌ましげに吐く。

サルタンは、ニヤリ
と笑い『まあな』と
答える。

操りとは、動物を飼
い馴らし、笛などの
音で、己の意のまま
に動かす事の出来る
者の呼び名である。

高等技術を要する為
会得する者は、ごく
僅かだという。

三匹の狼は、黒いマ
ントの男の周りを円
を描く様に回り、低
く唸り声を上げる。

『さて、質問タイム
だ。アンタの狙いは
何だ?何故、坊さん
を付け狙う?』


『………』

サルタンの質問に無
言の男。


『じゃあ、質問を変
えよう、首謀者は誰
だ?誰に頼まれた?



『………』

やはり無言の男。と
その時…風を切る音
が聞こえ、男が低く
呻いた後…前へと倒
れた。

背中に深く刺さる一
本の矢。それは心臓
を貫いていた。

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