《MUMEI》 理想の彼女との出会い僕は生まれて20年、人を愛したことも、愛されたこともなかった。 両親とも会社に勤めていて、僕には成績のこと以外で関心を持つことは一切無かったからだ。 幼稚園の頃から私立で有名な所に入れられ、それからは大学まで立派なエリートコースを進んできた。 親の望むままに。 でもそのことを不満に思うことはなかった。 両親は僕の成績が良く、素行も問題なければ大概のことを許してくれる。 お小遣いだっていくらでもくれるし、何でもワガママを聞いてくれた。 学校ではいつも孤独だった。 けれどそれは僕だけに限ったことではなかった。 通っているのが私立の進学校だったせいか、みんな自分以外が敵だと目で語っていた。 だから僕以外の生徒達も、誰かと一緒にいる場面を見たことは一度も無かった。 孤独が当たり前、そんな所にずっといたせいか、一人を寂しいと思ったことは生まれて一度も無かった。 しかし大学にもなると、ちょっと違ってきた。 大学もエリート校だけど、みんな精神的に安定しているらしく、友達付き合いを良くしていた。 僕も普通に会話をする人達ができた。 でも大人だから、一定の距離を保って接してくれるのがありがたかった。 しかし問題もあった。 人数合わせの為に、合コンに呼ばれることが多かった。 ウチの大学はエリート校ということで、女性達から誘われることが多いらしい。 時々参加するけれど、苦手と感じていた。 明らかに僕の学歴と将来目当てに近付いてくる女性達、目的が分かり過ぎて怒る気にもなれなかった。 うんざりはしていたけれど、友人関係を円滑にする為に渋々参加していた。 ―そんな時だった。 僕が彼女に出会ったのは。 次へ |
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