《MUMEI》

「お前に呪いをかけた、俺を忘れてしまわないように、記憶で縛り付け、戻って来るように刷り込んだんだ……解放してやる。」


「鳥さんって童貞なの?」

ぼくの口から性欲を示すような発言に鳥さんは驚きを隠せないようだ。


「茶化すな。」

睨まれたが、なんだか可愛らしく思えた。


「いや、モテモテなのは分かるよ。ぼくは、こんな体だから……もしかしたら、鳥さんってどこかでまだ、天使様の為に操を捧げてるのかなって。」

天使様は、鳥さんの唯一無二の信仰対象だ。
きっと死んでも天使様を思っているだろう。


「後悔だけだ、そういうのじゃない、軟禁しただけだ。」

負い目を感じてるくせに。


「ぼくなら、閉じ込めていいのに……鳥さんの中に仕舞われて構わないのに……。」

鳥さんの泳ぐ目にむかむかする。
もしかして、嫉妬しているのかな。


「都合の良い人間にはなるな、我が儘でいれば良いじゃないか。」


「鳥さんこそ。かっこつけるのやめて。」

ぼくは鳥さんを刺すときに一瞬見せた、泣きそうな顔が好きなんだよ。

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