《MUMEI》
夢の中の出来事 5
よく晴れた日。休日の午後。
アニマルの家の庭で、アニマルとホークはくつろいでいた。
白いテーブルの上にはビールと料理。
「アニマル」
「何だ?」
「有意義な旅だったな」
「……」
アニマルは遠くを見つめた。のどかな光景だ。若い母親が幼い子の手を引いて歩いている。
子犬を連れて歩く若い女性。ジョギングをするグループ。
ジャングルとは対極の平和な風景だ。
「あれからマキと会ったか?」
「いや」
「薄情だな。アニマルは命の恩人なのに」
「そんなもんだ」アニマルは呟くと、つけ加えた。「命の恩人は8人全員だ」
「厳密には7人だ。ダスティは覗く。GAHAHAHA!」
アニマルもつられて苦笑する。
「でもオランウータンの恩人はアニマルだ。オランウータンが刺されたとき、マキはまるで恋人が刺されたみたいに絶叫してたな」
「くだらない比喩はよせ」アニマルはビールを飲みほした。
「くだる。大事な部分だ」
「マキは動物愛護の精神が強いだけだ」
「科学者には向かねえな。GAHAHAHA!」
アニマルはホークを睨む。
「不謹慎だな。笑うところじゃないだろ?」
純白のワンピース。何という清楚な美少女。いや、もう二十歳だから少女ではない。
素敵なレディが恥じらいながら、大きめのバッグを抱えてこちらに向かって歩いて来る。
「あれ、マキじゃねえか?」ホークが言った。
「…ああ」

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