《MUMEI》

あたしがお弁当を開くと、その中身を見て、好物が入っていると略奪していく。

そして自分が買ってきたおにぎりやパンと、無理やり交換させるんだ。

まあ…コイツとあたしの好みが同じなのが、救いだろう。

「はい、キミのお昼」

そう言って、笑顔でコンビニの袋を押し付けてきた。

「ちょっ…って、もう食べてるし!」

袋を受け取ると、すでにアイツはお弁当に手をつけていた。

渋々袋の中をあさり、コンブのおにぎりを食べる。

「キミ、それ好きでしょ?」

「好きだけどさぁ。…自分で作ったお弁当の方が、もっと好きなんだけど?」

「ワガママだなぁ」

「どっちがよっ!」

お昼休みは何故か、コイツと2人で食べている。

それも…やめた方が良いのかもしれない。

「ねっねぇ」

「何?」

「そろそろ…あたしをいじるの、やめてくれない?」

「どーして?」

真顔で聞き返しやがった!

「…あたし、そろそろ彼氏欲しいのよ。アンタがいつまでもあたしをかまってちゃ、出来ないでしょ?」

キッパリ言うと、キョトンとした。

「彼氏って…ボクのことでしょ?」

「はあ!? 何でよ!」

強気で聞き返すと、いきなり…キスされた。

教室内で、悲鳴や嬌声が飛び交う。

「…これでキミはボクのモノだって、みんな分かったから。誰にも渡さないよ」

唇に息を吹きかけながら、間近であたしを睨みつけるアイツに、思わず目がくらんだ。

「一生放さないよ? キミはボクのモノなんだから」

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