《MUMEI》

明智はスッと目を細めて考える。

「そういえば、ちょっと前にもスレシルって単語使ってましたね。なんとなく流してましたけど。」

「ん?そうだったか?」

「サプリの力を吸収したスレシル。仮に、他のフェルの力を吸収したヤツが、この学校に居たとして、そいつもスレシルなんですよね?」

「…怖いこと言うなぁ。そんな簡単にスレシルが現れて堪るか。まぁ、仮説だとして、それはスレシルで間違いない。しかし、お前とは全く異質だ。大元が別のフェルだからな。」

「簡単に出ない。って、だって、現に兄さんや先生だって…」

山男は腕を組みながら、真っ暗な空間の上の方を見やる。

「うーん。詳しい数字は知らないけど、学校規模を任されるだけのフェルの下、さらに生命エネルギーの波長が良い具合に合わないと発生しない。
ってサプリは言ってた気がしたなぁ。なんか、ものすごい発生確率は低いらしい。
なんで、俺たちの後、この短期間でお前がスレシルになったのかは、俺にはまったく想像つかないよ。むしろ、発生確率が低いって言われていた言葉が信じられなくなっているのは、お前と同じだ。」

「その辺は、まぁ、魔法使える人間がそこらに全く居ないことを考えれば、なんとなく。先生みたいに隠しているのかもしれませんけど。
先生、魔法使えるんだったら、周りに魔法使える人間がいるってわかるんですよね?今まで周りに居なかったんですか?」

ふと思い出したような顔をして山男は明智を見る。その目は少しの歓談を払拭させるかのように真剣だ。

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