《MUMEI》

「そう、身体が壊れる説明の途中だった。周りに魔法使えるヤツが居たかどうかの話も後でしてやるから。時間軸の話からちゃんと理解してもらわないと。
さっき、俺が作ったソウに入ったあと、呼吸困難に陥っただろう?あれは時間軸の変化に、お前の身体がまだ慣れきっていないからだと思う。
スレシルになったせいで、身体はフェル世界の時間軸、およそ5倍のスピードで時間を巡る。でも、お前の身体自体は、地球にいるんだよ。
分かるか?その5倍ものタイムラグを受け続けると、身体がその負担に耐えきれなくなって、老衰が始まる。」

「ろうすい?年取るって事ですか?」

「身体を形成している細胞は、間違いなく、地球の理にならって分裂し、成長を続けるが、それが5倍のスピードで進むんだ。1年間ほっといてみろ。単純計算で、お前は21歳だ。
単純に進んだ場合な。話はそんな簡単じゃなくてだな、急激に身体が成長を強いられるから、結果、細胞自体が間違いなくその1年で壊れる。」

「……でも、先生、生きてるじゃないですか。兄さんも。なんか対応策あるんでしょう?」

「もちろんだ。」

「じゃあ別に。」

「フェル世界に行けば良い。それだけだ。」

静かに、告げられた解決策は、新たな問題が含まれていると言わんばかりの声音で、明智はやはり半分も理解できないまま身体を硬くした。

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