《MUMEI》
マザーコンプレックス。
  
ちょんちょん♪

「何してんだよ…」
「oh!」

彼女が日本の料理を作ってくれると言うので、後ろで見ながら作り方をメモしていたのだけど、彼女の後ろ姿を見ていたらあるものが気になってしまった。

その細い背中から横にはみ出している、大きなおっぱい。

彼女が動く度に見事に揺れるので、気になって気になって…。

つい、後ろから指でつついてしまった。

「怒りしてますか?お顔が赤い、です」
「うるさいなぁ…///」

怒られた後でもやっぱり気になって触ってしまったけど、その後はあんまり怒っては来なかった。


「wow!凄いです、ワショク!」

部屋はベッドと仕事の机だけでギュウギュウだったので、僕が綺麗にした机の上でいつも食事をしている。

今日もちゃんとクロスを敷いて彼女の手料理を並べていると、彼女は僕の書いたメモをパラパラとめくっていた。

「アレでちゃんとメモってたのかぁ…」
「うん…///」

”ちゃんと”ってのは”オーデンリッヒ”で…”メモ”はドイツ語でも英語でも日本語でもメモだから…。

意味はだいたい分かったんで返事をすると、彼女は僕の頭を『よしよし』と、撫でてくれた。

「何描いてんだよ…」
「え…?」

彼女が開いたページを覗き込むと、さっき僕が描いた彼女のおっぱいの絵があった。

「お前は…頭ん中コレばっかなのかよ」

”ばっか”って…?

そこでふと日本語のスラングを思い出した。

「バカじゃないです!」
「…バカって言ったんじゃないよ」

”じゃない”は前に教えてもらった間違いという意味の”ファルシュ”だから”バカ”では無いんだな…だったら何なんだろう。

「”バッカ”は何ですか?」
「”ばっか”か…”そればっかり”って意味だよ、オンリーだな」
「僕の頭、おっぱいオンリー…」

そうかもしれない。

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