《MUMEI》
宿題
「なんで。」


集会も機密会議も終わり、
将貴は自宅へ帰っていた。


時計の針は既に10時を周っており、
月が空高く登っている。


新しい学校での生活や、先程の集会で身も精神もくたくたになった将貴は、
程よく吹く風に身を委ねながら重たい足を引きずっていた。


そして、程なく自宅へ到着した。


そこまでは良かった。


「なんで。」


再度口にする。


「いいじゃな〜い!

今日も泊めて?」


案の定、由里香は悪気も無く将貴からキーを奪い、
そそくさと家へ入って行く。


別に珍しいことでは無い。


でも今日だけは…待ち伏せしてほしく無かった。


由里香に聞こえぬよう、そっとため息をついた。

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