《MUMEI》

「俺、クラスの女子のアド殆ど知ってるけど。」

「……浮気者!」

「失敬な!男子のアドレスなんて全員知ってるし皆友達だし。
誰よりも早紀が最優先だもん!」
ムッとさせてしまったようだ。

「俺、最近カリカリしてない?」
申し訳ない。我に返る。

「……ウン。してる かも」

「分かってるんだけどさ、つい不安になって苛々してるんだ。
七生にばっかりに当たってるのも分かってる。」
溜息出てきた。

「どうして、俺には大口叩けるのに自分の事となるとひ弱なんだろうな?」
わざわざこの俺が激励してやったのにこの言い草。
勝手に赤外線通信を始めた。

「ひ弱ゆーな!
ちょっと、なに着々と進めてるの、」

「はい完了。
二郎がアドレス聞きたがってて水瀬も同じこと考えてたって、運命じゃん?」
新しく水瀬のアドレスが登録された携帯を受け取る。

「運命なんて……、偶然だから。」

「神様が仕組んだ偶然かも。幾つもの偶然が重なり合って運命になるんだ」
さらりとくっさい台詞言い退けて。何人口説いてきたんだか。

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