《MUMEI》
将貴の誘惑
再びブツブツ言いながら宿題を片付け始めた将貴に、
由里香はそろそろと近付く。


そして将貴を後ろから抱き締めた。


「まだ終わらないの?」


将貴の右肩に顎を乗せて、
宿題を覗く。


「ああ、見ての通りだ。」


「でも将貴なら頭良いからすぐ終わるでしょ?」


「いや、量が半端ねぇんだよ!」


「えー。」


「お前そんなに俺に抱かれてぇの?」


「うん。」


「だったら手伝え。」


これみよがしに、
将貴はもう一本シャーペンを取り出す。


「えー、やだー。」


「手伝え。」


有無を言わさぬ声。


将貴は首だけ捻り由里香の顔を覗き込んだ。

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