《MUMEI》
自覚
シャツから覗く、
将貴の逞しい胸筋。


由里香はそれに釘付けになって、
目が放せずにいた。


もう駄目だ、私。


胸に手を当て、心臓の音を確かめる。


バクバクと激しく鳴り続ける鼓動。


どうしようも無いくらい、
将貴が好き。


最初はたかが高校生だと思っていた。


『黒龍』の総大将だから親しくなって、
こちらがピンチになったら救ってもらう。


そんな関係でいいと思っていた。


けど……。


親しくなるに連れて、
あまりに大人びた将貴の言動や行動に惹かれて行く自分がいた。


気付けば将貴の言葉1つでさえに、
一喜一憂していた。


将貴は私のこと、どう思っているんだろう?


由里香は1度、目を閉じ、再び将貴を見た。

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