《MUMEI》 ―いる、この上にヤツが! 一瞬階段を駆け上がっていた足を止め、深く息をする。 ―今いくから、頼むから無事で… 綾乃の安否を気遣いながらも、臨戦体勢を整え、一気に上のフロアに飛び出した。 フロアの奥にぼろぼろになったソファーがあり、綾乃はそこに横にされていた。 素早く視線を走らす、が、黒烏本人の姿は見当たらない。 「いねぇのか?」 慎重に気配を探りながら、綾乃に近づく、と― ―ガルルッ! 突然唸り声と共に、三匹の魔犬が躍りかかってきた。 前へ |次へ |
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