《MUMEI》

うわ…私ったら何考えてるんだろ。


高揚させた顔を見られまいと、
顔を背けた。


だがもう遅かったらしい。


視線を感じて顔を上げると、
将貴の視線と絡み合う。


目が合った途端、
将貴は爽やかな微笑みから悪戯な微笑みに変わった。


「何?

俺の体に欲情した?」


ジリジリと由里香に近付いて行く。


「違うわよ。」


「ホントに?

顔赤いけど?」


う……。


痛い所を突かれ、
由里香は言葉に詰まった。


「図星だろ。」


将貴はニヤリと微笑むと、
いきなりあくびをした。


「あー、眠い。」


「もう寝る?」


「ああ。」


将貴はいつの間にか大の字になって横になっている。


由里香はくすりと微笑むと、
体を起こした。

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