《MUMEI》
予感
「やっぱ先輩はすげぇや。」


先輩に気付かれぬよう、
ぼそりと呟いた。


だが先輩には聞こえたようで、


「お前のアシストが凄かったんだって。」


困ったように、
はにかんで見せた。


〜・*・〜・*・〜〜・*・〜・*・〜〜・*・〜・*・〜


ピピー――――――!!!


長い長い試合終了のホイッスルが鳴る。


ついに終わったんだ。


1対0


先輩のあのゴールが無かったら、
俺達は完璧に敗北していただろう。


あの時と同様の、
嬉しさがふつふつと込み上げて来る。


俺はまず、
押さえきれないこの感情を先輩にぶつけた。


「倉木先輩!!」


「うお!?」


先輩は一瞬面食らった表情を見せたが、
直ぐに笑顔を見せた。

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