《MUMEI》

「シャンたしゃんのお写真撮ったよ〜♪」
「暗い中でも写るんだね〜♪」
「に…日本製だからな///」

カメラのモニターを覗き込んでそう言ったジェイミーに克哉さんは冷静に答えてはいたが、こっちらか見たら白いヒゲの中の顔を引きつらせて、耳も真っ赤になっていた。

「…そろそろ克哉さん帰って来ないかなぁ?」

さっきからずっと恥ずかしがっているから、そろそろ克哉さんに戻りたいだろうな…と思って僕が皆の前で克哉さんの名前を出したのだけど…。

逃がさないように…かは分からないけど、克哉さんの片方の腕をがっちりとトリスタンさんが固めていた。

「まだまだサンタさんに居て貰いましょうよ〜♪」
「そうだよなぁ、僕ドイツのサンタさんに会うのなんて初めてだしぃ〜♪」
「こ…この…///」

トリスタンさんとジェイミーが楽しそうに克哉さんをはさんで座ると、くるみちゃんがその様子をまたカメラにパチリと納めていた。



「でもね……前のシャンたしゃんとは…何か違うの」
「そうなの?」

くるみちゃんはトリスタンさんが作ってきてくれたというキッシュを頬張りながら、チラチラとサンタさんの方を気にしていた。

「…お声とかぁ…前のシャンたしゃんはねピョンピョ〜ンってねしてたの…」

そう言いながらくるみちゃんは両手を上にあげて飛び跳ねるような格好をすると、ビール瓶を持ったサンタさんの方をチラリと見た。

「ぅ…///」

”前のサンタさん”とは、つまりくるみちゃんのお父さん”マックス”さんの事だ。

確かにあの人だったら子供と一緒に飛び跳ねそうだし、もしかしたら子供よりハイテンションだったりするのかもしれない。

でも、それは克哉さんとは真逆な性格で、どちらかと言えば3番目の弟さんの方が性格的に一番近いのかもしれない。

克哉さん…これを聞いて飛び跳ねたりするんだろうか…。

そう思ってみんながジーッと克哉さんに注目していた。

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