《MUMEI》

ターニャ、電話に出ないや…

……俺、回答遅かったから、怒って、先に帰ったのかなぁ?

……

まさか、ね…


一応、待ってみる事にしたんだ

みんな、会場から帰って行く…

人影も、まばらになった頃
ターニャが来たんだ


ターニャ 「ごめん…待たせ ちゃったね…」

翔太 「…大丈夫?」

ターニャの顔色が悪かったんだ

何かに動揺してるみたい…
周りをキョロキョロ見てるターニャ


ターニャ 「帰ろう…」

翔太 「うん…」


会場を出て、地下鉄の駅に向かう途中だった


みーつけた、逃げるなよターニャ


男の声がしたんだ


ターニャの顔が、怯えたような表情になった

翔太 「?…」

ターニャ 「…行こう…」

ターニャが俺の腕を引っ張ったんだ


誰?彼氏?


また、違う男の声だった


男が2人居た、同い年みたいに見えた


ターニャ 「行こうょ…」

俺の手を引く、ターニャの手が、震えてたんだ


まぁ、待てって
話そうぜ


ターニャ 「障んないでよ! 」

ターニャの肩に手を掛けた男の手を

力いっぱい振りほどいた、ターニャだった


肩ぐらいで何だよ

人前でデカイ声出して…

何なら、俺もデカイ声で言ってやろうかぁ?

彼氏の前でさ…


そう、言った男の声は
悪意に満ちてる感じだったんだ

翔太 「…何?」

「感じ悪いよ、お前…」


男達を睨んだ俺

ターニャ 「行こう、翔太… 」


翔太君かぁ、
ちょっと、顔貸してよ

ターニャも来いよ

じゃないと…大変な事に、なっちゃうぜ

学校、わかっちゃったしね

完全に、喧嘩腰だな

普通の学生に見えるんだけどなぁ…


ターニャ、顔が青ざめてた

コイツら、ムカつくけど

ターニャの方が心配だよなぁ

無視して帰ろう

そう決めて

俺、ターニャの手を引いて
翔太 「帰ろう」

と、笑顔で言ったんだ


何か、奴らが言ってたけど 無視、無視


帰りの電車の中

ターニャ

一言も口を聞かなかったんだ

ずっと、何かに怯えてるような感じだった


車内でも

ヤッパ、ターニャ目立つんだ

みんなが見る

そうだよね

美人だし、金髪は目立つよね

……

無事、寮に着いた俺達



階段で、ターニャを見送った時

翔太 「何かあったら、相談 乗るからね」

「じゃぁね」

と、笑顔で言った俺に

ターニャ

ムリに作った笑顔で応えたんだ

……

こんな、ターニャ

初めて見たなぁ…

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