《MUMEI》

すくむ両足…


叩けど叩けど動かない


痛みすら感じない


ごめん、貴則


さっきまで「先に逃げろ」とか、カッコつけてたのに、いざとなったら動くことすら出来ないよ…







やっぱり僕は、根性なしのダメ人間だ…


人間とすら喧嘩なんかしたことないのに、どうやって妖怪と戦おうとしたのか…


心の底で、貴則が助けてくれるとでも思っていたのだろう…

最低だ…

人質になるっていってもどうせ、最後には殺されるんだろうなぁ



そうか、どうせ死ぬのか

生きようとするから恐いんだ…

諦めがつくと、なんだか楽になってきた

おかしなテンションになっていることには、気付いていたが、そのテンションをなだめられない

どうせ死ぬなら、なだめる必要もない

殺されるなら殺されるで大暴れしてやろう




大人しい奴がキレたら恐いんだぞ


大きく息を吸い込み
そして吐き出した…


なにかが吹っ切れたかのように脚の感覚が戻ってくるのを感じた…

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