《MUMEI》

観客席。



ワーワーワーワーッ!!!!


「千葉…」


ワーワーワーワーッ!!!!


「ん?何恭介?」


ワーワーワーワーッ!!!!


「いや…
ちょっと昔を思い出してた。」


ワーワーワーワーッ!!!!


「はぁ?」


ワーワーワーワーッ!!!!


「いや、わかります。」


ワーワーワーワーッ!!!!


「鳥居も?」


ワーワーワーワーッ!!!!


「はい。」


ワーワーワーワーッ!!!!


「昔のあいつを知ってれば何となく思い出す。


昔からずば抜けたセンスしてんのはわかってた。


あいつが俺たちの抜けた後の海南を引っ張ってくんだってのも。


けどあいつもあれでまだ17歳。


そりゃプレーは別格だけどよ。


それ以外は普通の高校生。


他となんも変わんない。


髪型だって気にするし、


制服だって緩い感じに着るし、


カッコつけたいし、


カッコ悪いって思われたくない。


それがリアル。


それが自然。


今のあいつは空気に飲まれてる。


あいつだけじゃない。


他の奴もほとんど。


高総体の準決。


張り切って当たり前。


その反面緊張すんのも。


学校の奴ら全員に見られてんだもん。


意識はするさ。


まぁ…


それもそろそろ終わる。」


ワーワーワーワーッ!!!!


「…何でそう言える?」


ワーワーワーワーッ!!!!


「試合開始から5分以上経ってる。


そろそろ集中し始める。


どんな大舞台でもだ。


あいつは…」


ワーワーワーワーッ!!!!


「?」


ワーワーワーワーッ!!!!


「信念を持ってるからだ。」


ワーワーワーワーッ!!!!


「へぇ…


解説ありがと恭介くん。


ちなみに。


その信念てのは?」


ワーワーワーワーッ!!!!


「…絶対優勝。」


ワーワーワーワーッ!!!!


「にゃるほど。納得。」


ワーワーワーワーッ!!!!


すーっ…


ワーワーワーワーッ!!!!


恭介は大きく息を吸う。


ワーワーワーワーッ!!!!

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