《MUMEI》

喧嘩していても元は同じチームメイトだったはず。


どうしてここまで険悪な雰囲気になるんだ?


俺は勇気を振り絞って、
震える手を硬く握った。


「この際はっきりさしたらどうですか?」


「は?」


またも榊原の目が俺に向く。


先輩も訳が分からないと言った風に俺を見下ろした。


「何が原因でこないなことになってるんや?」


「賢史、いいから……。」


「良くない。

俺はもう、先輩のそんな顔見た無いんです。」


自分では自覚していないだろうけど。


先輩の今の表情、とても切ない。


先輩の今までの苦難が嫌でも分かる。

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